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遠藤: マナー講師の田中浩子講師にお話を伺いたいと思います。マナー研修に携わるようになってどのくらいになるのでしょうか?
田中: 18年目ですね。
遠藤: 18年ですか!意外と長いんですねー。初めからマナー講師を?
田中: いいえ。マナーは金融機関の総務に配属されてそこでしっかり叩き込まれました。
遠藤: それから松山に来られて、マナー研修をビジネスとしてされたのはどのくらい前からですか?
田中: 16年前ですね。
遠藤: では、16年前から今のように学生へのマナー指導をされていたのですか?
田中: いいえ、そうではありません。その当時は企業研修でした。それでも早い段階から大学に行かせて頂くことになりました。
遠藤: 私も学生と関わることが多いのですが、10数年前の学生と今の学生は違うなぁと感じることがあります。田中さんは今の学生を見てどのようなところが変わってきたと感じますか?
田中: 一番感じるのは、コミュニケーション能力の低下でしょうか。自己表現ができない、自分の気持ちを伝えることができないように思います。もしかするとできにくい環境なのかもしれませんが、その能力的なもの、社会性が低いというのでしょうか。
遠藤:

具体的にはどういうことでそう感じられるのですか?

田中: 目で見てわかるのは、「就職したい」、「社会人になりたい」と思っているものの、企業側・採用する側に伝わっていない。「がんばります」という言葉も言えないし、態度で表すこともできない。そういうところです。
遠藤: 男女に分けていいものかどうかわかりませんが、特に男子学生の元気のなさを企業の担当の方から聞くことが多いのですが、田中さんはどう思われますか?
田中: 男女での差といったものは感じていません。そういえば最近はあまりヤンチャする人がいないですね。そういう意味では元気がないという気がします。
遠藤: そうですね。最近の若い人は「お酒を飲まない」、「車を買わない」等、欲があまりないように感じますね。
田中: 今の学生は、十分に与えられていて、自分から進んで「これのために!」という目標意識が立てにくい環境にいるのかもしれませんね。
遠藤: なるほど。確かにそうかもしれませんね。

遠藤: 弊社の新入社員研修のマナーを担当いただいておりますが、田中さんが新人に接する上で大切にしていることはどのような事でしょうか?
田中: 私は時間を大切にしたいと思っています。学生時代の時間と社会に出てからの時間というのは大きな違いがあります。企業に入るとすべてを利益につなげるように求められていることが意識できるように、研修の中での意識付けには重点を置いています。研修にも費用がかかっています。仕事と同じことだから、研修でも成果を上げられるように、時間を大切にすることから教えたいなと思っています。
遠藤: 田中さんの研修は「厳しい(しっかり叱る)」と感じるのですが、この厳しさの裏にはどんな思いがあるのでしょうか?
田中: 「厳しい」という言葉だけが独り歩きしても困りますけどね・・・。(苦笑)
私は「厳しい=やさしい」だと思っています。ただ、「やさしいこと」と「甘いこと」は紙一重だと思っています。今は甘い家庭教育、学校教育になっているように感じています。だから私はあえて、大変やさしく、厳しく接しているつもりです。(笑)
遠藤: 今年の弊社の新入社員研修では高卒者を担当して頂きましたが、大卒者との違いを感じたことはありますか?
田中: 4年という時間の差は感じますが、人間的な差は感じません。ただ、若いぶん、高卒者の方が素直に吸収する力があるように思います。大学院卒者とは明らかに違うとは思います。
遠藤: 新入社員研修では、学生と社会人とでは大きな違いがあることを認識する機会になると思いますが、田中さんはその違いをどのようにとらえていますか?
田中: 与えられている環境と自分が関わって能動的に動かなきゃいけない環境にいるということでしょうか。それが理解できないからうまくいかないんでしょうね。今の学生はほとんど与えられていますから、気づきが少ない。言われないとわからない、言われても分からないというか。
遠藤: そうですね。これをやりなさいと言われた時、100にはできるけれども120にはしないですよね。
田中: そうですね。「頼まれごとは試されごと」と言われますが、頼まれたら言われたことだけをする。しかも自分のペースで。
遠藤: 私は以前勤めた会社の時と一番違うなと思うのは、考える機会があまり取れていないってことですかね。「こうなんですけど」と上司に報告すると「お前はどうしたいんだ」と言われ、考えないと話ができないわけで、「お前が考えたことにはこう思うよ」と意見を言ってくれますが、ただの現状報告だけでは前に進んでいかないわけで、考える力が弱まっていますよね。
田中: 弱っていますよね。
遠藤: 全体的にそうかもしれませんよね。そういうところを中小企業さんも意識してやっておかないと、ビジネスモデルでどんどん儲かるという時代ではなくなりましたからね。人の力を活かしていかないと無理でしょうね。
田中: それと、今は一人ひとりの生産性が落ちてきていると思うんですよね。
遠藤: 私もそう思います。以前私が一人でしていた仕事を今は6人くらいでやっているイメージですね。
田中: おそらくそうだと思いますね。工場はITの発展で生産性を補っていると思うのですが、人の部分で考えると生産性がすごく落ちている、ということは利潤が下がる、追求できない、追求すると病むという悪循環を間違いなく生み出している。社会人になったときに、利益追求の歯車の一端を担っていることを自覚させることにまずは一番声を大きく荒げてしまうところになっています。

遠藤: 4月と10月に新入社員研修とフォローアップ研修を実施しました。私は、実務経験を積んだ後に実施するフォローアップ研修が非常に重要だと思っているのですが、田中さんから見て4月の時と10月での変化はどのように感じられましたか?
田中: 私が担当した高卒者のフォローアップ研修の中で、実際、「厳しい、つらい、しんどい」といった声がありました。しかし、そうした中でも4月に参加した人が全員10月にそろったことは非常にうれしかったです。実務を経験した彼らを見るとちょっと大人になったなぁという気がしました。
遠藤: 講師の立場から新入社員研修を実施後、職場に期待することはどんなことでしょうか?
田中: まず、私は限られた時間の中で伝えたいことをすべて伝えたいという意識で研修を行っています。出来ることなら現場でどのように育っていくか見届けたいと思っていますが、受け入れ側が一番大変だと思います。職場の方には、貴重な時間を使って新入社員研修でどんなことを学んできたか、実際の現場で活かしていくにはこういう風に応用していくんだよということを指導できるリーダーが必要だと思います。
遠藤: なるほど。
田中: できたら一緒に研修を受けて頂けるとなおいいと思います。
遠藤: OJTの指導する先輩、上司の方が研修内容を理解したうえで、ちゃんと意識を統一して指導するということですね。
田中: そうですね。
遠藤: 新入社員への研修を実施した後の理想とする次はどんなポイントで振り返りをするといいと思いますか?
田中: 後輩を迎える時ですね。2年目に入ってすぐくらいが自分の一年前、一番身近で一番のお手本で、一番の理解者になれる立場になる時がポイントだと思います。


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